フランテック法律事務所

 フランチャイズ本部の法律相談・ベンチャー企業の法務コンサルティング

弁護士 金井高志

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フランチャイジー(加盟店)のための契約トラブルを未然に防ぐ法律知識

法律知識はどうして必要

契約書を読むのは難しいといわれる。しかし、フランチャイズ契約の締結はフランチャイズ加盟にあたっての最初の重要な法的な第一ステップである。フランチャイズ契約の締結によりその後のすべての本部と加盟店を拘束する権利義務が決められ、その内容には基本的には絶対的に拘束される、というのが原則である。この点からフランチャイズ契約を締結する際にその内容の検討が重要でそのための法律的知識が必要になる。また、フランチャイズビジネスの過程で加盟店は本部または第三者との間の法的トラブルに直面することがある。そこで、ここでは、これから加盟店になろうをしている人たちのための最低限の法的ポイントを述べていきたい。

フランチャイズ契約の締結(フランチャイズ契約書の読み方)

フランチャイズ契約は、長期間の本部と加盟店の間の権利義務関係を規定する契約である。裁判所でこのフランチャイズ契約について争われるとき、本部と加盟店の関係について必ずしも事業者と一般消費者(弱者)の関係とはみられない。その両者は事業者同士であるのだから、基本的には加盟店はフランチャイズ契約の締結・店舗の経営につき自己責任を負うという見方をされる。この自己責任はフランチャイズビジネスでは当然の原則・常識であるにもかかわらず、このことを認識していない加盟店希望者が多い。ビジネスの成功に胸を膨らませる加盟店希望者にとっては将来の様々な事情について規定されるフランチャイズ契約の内容にあまり興味が湧かないのが普通かもしれない。しかし、それではすまされない。フランチャイズチェーン加盟による独立・開業の成功率は80%以上であるが、逆に言えば、フランチャイズチェーン加盟でも10%を越える加盟店は失敗しているのである。フランチャイズを含めすべてのビジネスにリスクはつきものである。
そこで、フランチャイズ契約書を読むにあたり、基本的にはフランチャイズ店舗経営に加盟店が自己責任を負うとされることを念頭におき、フランチャイズ契約期間中に発生が考えられる事情・リスクの対処がどのように規定されているかを冷静に考えながら、フランチャイズ契約書を読むことが必要である。このような契約書検討の重要性を考えると、契約のチェックの時間を十分に与えず契約の締結を急がせるフランチャイズ本部は警戒すべきである。そこで、フランチャイズにおいて発生している主なトラブルを踏まえ、加盟店希望者としての契約書のチェックポイントを説明する。

1 法定開示事項

FCに関係する中小小売商業振興法(サービス業は適用対象外である)に基づいて要求されている「法定開示事項」として事前に説明された事項とフランチャイズ契約の内容が同じであるかを確認する。

2 立地判断・売上予想

最近トラブルの多い立地判断、売上予想もチェックポイントとなる。フランチャイズにおいて本部が店舗の立地判断をし、その店舗における売上予想・収益予想をして立地調査報告書や経営計画書を提示する。これらの中で、本部は当該店舗での売上を予想して単なる参考としてそれを提供しているのか、また、契約上、本部はその売上を保証(加盟店の利益を保証)する旨の約束をしているのかを確認する。本部が客観的・合理的な資料に基づき売上予想をしていれば、契約上、本部が売上保証をしていない限り、当該店舗の売上が予想売上金額に達しなかったとしても、法律的には本部はその点につき責任を負わない。

3 契約で支払う金銭の内容

フランチャイズ契約の締結にあたり、様々な名目の金銭を本部に支払うことになるが、その場合、その金銭は何に対する対価であるかを検討することが大切である。また、例えば、加盟金は通常返還されないが、保証金は主に本部に対する加盟店の債務の担保目的であるので、フランチャイズ契約終了時に加盟店において債務がなければ返還されるものである。従って、本部に支払う金銭につき返還されるかどうか、また、何時返還されるかのチェックが必要である。

4 契約違反の損害賠償と中途解約の違約金

加盟店または本部にフランチャイズ契約の違反行為があった場合には、その相手方は損害賠償請求をすることができるが、フランチャイズ契約上、加盟店の契約違反行為があった場合、例えば、ロイヤルティの30ヶ月分を損害賠償金(予定された損害賠償額)として支払わなければならないという規定が置かれることがある。このような規定も例外的な事情がない限り裁判所では無効とされない。従って、損害賠償金額につき検討しておくべきである。また、中途解約の場合の違約金についても検討しておくべきである。

5 競業禁止義務

ほとんどのフランチャイズ契約において、契約の継続中加盟店は同種の事業を営んではいけない、また契約が何らかの事情により終了した場合につき、一定期間(一年から数年にわたり)加盟店は同種の事業を営んではならない、とするノウハウ保護や従前の商圏の保護を目的とする競業禁止規定が置かれている。これにより加盟店はフランチャイズ契約の途中で他のフランチャイズチェーンに転換しようとしても、それが同種である場合にはそのようなことはできないし、自分自身で同種の営業をすることもできない。特に既に店舗を経営していて、新たに同業種のFCに加盟する場合にはこの点に注意すべきである。

6 テリトリーの問題

最近、既存の加盟店の店舗の近くに、本部が直営店を出したり、他の加盟店に店舗を開店させたりする事例がある。この場合、フランチャイズ契約上、ある一定の排他的なテリトリーが定められていれば、既存の加盟店は、本部に対してフランチャイズ契約上の契約違反であるとして、法的責任の追及をすることができるが、契約上排他的なテリトリーが定められていなければ既存の加盟店は本部の法的責任を問うことはできない。
リクルーターがテリトリーの保証のある旨を口頭で説明していたとしても契約上規定されていなければ、加盟店が訴訟でテリトリー侵害を理由として本部に損害賠償請求することは現実問題として非常に困難である。

契約調印段階までの専門家への相談

チェックポイントを含めてフランチャイズ契約の内容を様々なリスクを考えて検討すると、当然加盟店として疑問に思うことがあるはずである。その場合、本部に対してその内容を説明してくれるよう要求すべきである。また、この段階で経営コンサルタントや弁護士などの専門家に尋ねてみることも有益である。その場合の費用としては、弁護士の場合、法律相談料は一般的に30分で5千円から2万5千円程度である。契約書に関する質問に対する本部の説明に納得でき、加盟店希望者としてその内容で長期間フランチャイズ加盟店として営業をしていくことを了解できたら、本部と加盟店希望者でフランチャイズ契約書に署名・捺印をすることになる。この場合、契約書に契印をし、2通作成するべきである。もし、原本を1通しか作成せず、それを本部が保有する場合、契約締結時に、その写しをもらうべきである。それでは、契約書の内容、本部の説明につき加盟店希望者として納得できないものがある場合はどうするか。まず、この場合、本部に対してその条項を削除または修正してくれるよう要請すべきである。但し、フランチャイズ契約は複数の加盟店と契約書のフォームを用いて 締結されるものであり(附合契約)、特定の加盟店との契約のみを変更することは他の加盟店との間で取り扱いに差がでることになり、チェーンとしての運営上支障が起きる。従って、その要求は通りにくい。そこで、納得できないまま契約を締結してそのチェーンに加盟するか、それとも加盟しないかは、加盟店希望者自身のビジネス判断である。本来、納得できない内容の契約を締結すべきではなく加盟をやめるべきである。しかし、そのチェーンに加入したいという希望が強い場合、自分が納得できない契約書でも締結してしまうことがあるかもしれないが、その場合その内容の契約書に拘束されることの認識が必要である。将来納得できなかった条項に関してトラブルが発生しても、自分の判断に対する自己責任とされることを頭に入れておくべきである。 なお、本部で「契約書には○○○という内容が記載されているが、実際の運営は×××という内容でやっているから、加盟店には不利になっていない」という契約書の内容と異なる説明がなされたとしたら、後になって本部からそんな説明・約束はしていないと言われないためにも、その説明・約束の内容について書面を作成してもらうべきである。

トラブル発生時の対応策(本部との話し合い・誰に相談すべきか)

本部との間にトラブルが発生した場合、どのように話し合いをすべきか。トラブルにはいろいろな種類があるが、スーパーバイザーレベルで解決できないからトラブルとして顕在化するのであり、基本的にはトラブルの対応につき権限がある本部の責任者と話す機会を得ることが重要である。加盟店が自分で本部の責任者と交渉するにあたり、できれば経営コンサルタントや弁護士などの専門家からアドバイスを受けるべきであろう。そのような本部の責任者との話し合いでトラブルを解決することができればよいが、必ずしもそうとも限らない。従って、トラブルの場合、将来の訴訟をも視野に入れて、交渉経過につきできる限り書面で残すようにしておきたい。また、加盟店の要求に対してどのように本部が対応したかなどの記録も残しておくことが必要である。本部が話し合いに応じてくれない状況であれば、弁護士に本部との交渉を依頼することを考えるべきであろう。 本部との交渉から訴訟に至るまでの弁護士費用 経営コンサルタントや弁護士などの専門家のアドヴァイスを受けながら、本部との交渉をしても、トラブルの解決ができない場合には、事件として正式に弁護士に依頼することになろう。
弁護士報酬は、弁護士会の報酬基準が廃止されているため、各弁護士により異なるので依頼する際には、着手金、成功報酬や実費についてきちんと確認しておくことが必要である。

まとめ

ビジネスを始める以上、本部とのトラブルをはじめとして、その他の関係者とのトラブルを加盟店は避けて通ることはできない。加盟店自身事業者としての自覚をもち、トラブルと思えば、経営コンサルタントや弁護士などの専門家のアドバイスを得て、事態が深刻な状況に至らないうちに対処することを心がけてもらいたい。

弁護士への相談の仕方・弁護士の探し方

各都道府県の弁護士会で法律相談を行っているので、各地の弁護士会へ連絡をすると法律相談をしている日時等を教えてくれる。

相談をする前の準備

事前に自分でよく契約書を読み、どの部分について相談・確認をするかを考えておく。もし、弁護士に契約書をすべて読んでもらい全般的に意見を聞きたいときには、単なる法律相談ではなく、契約書の検討ということで弁護士に正式に依頼することになる。

 

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